千葉県安房郡鋸南町にある「鋸山 日本寺」は、「地獄のぞき」と呼ばれる断崖絶壁の絶景フォトスポットに、巨大な大仏、「千五百羅漢」と呼ばれる大小さまざまま仏像が並ぶ境内の山道に水仙をはじめとした四季折々の植物など、豊かな自然と歴史的遺産が融合した独特の景観が楽しめる寺院です。鋸山(のこぎりやま)という山の南側の斜面が日本寺(にほんじ)を構成しています。
ここでは、鋸山 日本寺を観光で訪れる前に知っておくと便利なお役立ち情報や注意点を詳しく解説しています。駐車場情報はもちろん、主要な見どころや山頂までのアクセスに便利な鋸山ロープウェーの情報、御朱印を貰える場所と営業時間まで網羅的に情報を網羅しているので、ぜひご覧ください。
鋸山 日本寺の駐車場&アクセス|5ルートあり要注意!
ルート | 駐車場代 | 補足 |
山腹の無料駐車場 | 1,000円 | 大仏&御朱印までの最短ルート |
鋸山山頂駐車場 | 1,000円 | 地獄のぞきへの最短ルート |
鋸山ロープウェー | 無料 | バイク・自転車・電車で来た場合はこちら |
東口駐車場 | 無料 | 道が細いのでバイク&自転車推奨 |
元名海岸駐車場 | 無料 | 表参道を歩くハイキング客はココを利用 |
鋸山 日本寺へのアクセス方法は5種類あるため、比較検討したうえで、交通手段や目的に応じて決めるのがおすすめです。
各駐車場の詳細はこの項目で解説します。
1.山腹の駐車場(有料)|大仏近くまで車で行けるが「地獄のぞき」までは徒歩で山登り
駐車料金 | 1,000円(車1台) |
駐車可能台数 | 枠線が無いため不明 |
路面 | 未舗装路 |
補足 | Googleマップに地点登録なし |
有料道路「鋸山登山自動車道(通行料1,000円/普通車・軽自動車)」でアクセスできる2つの駐車場のうちの1つです。鋸山の山腹に位置しており、同じく山腹にある日本寺の大仏と大仏がある大仏広場で書いてもらえる御朱印への最寄りの駐車場となっています。
大仏にアクセスが良い一方で、地獄のぞきには徒歩で45分~1時間程度、山道を歩いて上る必要があります。
駐車料金の1,000円は鋸山登山自動車道の入り口で徴収されるため、1,000円払えば後述の「鋸山山頂駐車場」も追加料金なしで利用できます(※普通車と軽自動車以外は料金が異なる可能性あり)。なお、路面は未舗装路のため、車を一切汚したくない方にはおすすめできません。
Googleマップに地点の登録が無いため、景色を見たい方は「鋸山登山自動車道」のストリートビューから確認してください。
2.鋸山山頂駐車場(有料)|車で「地獄のぞき」へ行く際の最短ルート
駐車料金 | 1,000円(車1台) |
駐車可能台数 | 枠線が無いため不明 |
路面 | 未舗装路 |
補足 | Googleマップ登録名:鋸山山頂駐車場(鋸山登山自動車道) |
有料道路「鋸山登山自動車道(通行料1,000円/普通車・軽自動車)」でアクセスできる2つの駐車場のうちの1つです。鋸山の山頂付近に位置しており、同じく山頂付近にある地獄のぞきや百尺観音への最寄りの駐車場となっています。
地獄のぞきにアクセスが良い一方で、大仏があるほか、御朱印を書いてもらえる場所である「大仏広場」には、徒歩で20分~30分程度、山道を歩いて下る必要があります。また、大仏広場から鋸山山頂駐車場へは徒歩で30分~40分程度、山道を上る必要があります。
駐車料金の1,000円は鋸山登山自動車道の入り口で徴収されるため、1,000円払えば前述の「山腹の駐車場」も追加料金なしで利用できます(※普通車と軽自動車以外は料金が異なる可能性あり)。なお、路面は未舗装路のため、車を一切汚したくない方にはおすすめできません。
Googleマップには「鋸山山頂駐車場(鋸山登山自動車道)」の名称で登録されています。
3.鋸山ロープウェー|駐車場無料!電車で来た人の「地獄のぞき」までの最短ルート
駐車料金 | 無料 |
駐車可能台数 | 不明 |
路面 | 舗装路 |
補足 | Googleマップ登録名:鋸山ロープウェー山麓駅駐車場 |
鋸山山頂と、日本寺への最寄り駅である「浜金谷駅(JR内房線)」がある山麓を結ぶ「鋸山ロープウェー」の山麓側の駅にある駐車場です。無料で駐車できますが、ロープウェイの利用には別途料金がかかります。
ロープウェーを利用した際の日本寺の入り口である「西口管理事務所」は、地獄のぞきにアクセスが良い一方で、大仏があるほか、御朱印を書いてもらえる場所である「大仏広場」には、徒歩で20分~30分程度、山道を歩いて下る必要があります。また、大仏広場から西口管理事務所へは徒歩で30分~40分程度、山道を上る必要があります。
路面は舗装路なので、バイクのスタンドが埋まる可能性が低く、安心して駐車できます(※バイク専用の駐車場所は無し)。
Googleマップには「鋸山ロープウェー山麓駅駐車場」の名称で登録されています。
4.東口駐車場(無料)|道が超細いので辞めたほうが無難だがバイクにはおすすめ
駐車料金 | 無料 |
駐車可能台数 | 20台以上 |
路面 | 舗装路 |
補足 | Googleマップの登録名:町営日本寺東口駐車場 |
大仏があるほか、御朱印を書いてもらえる場所である「大仏広場」に近い東口にある、鋸南町の町営駐車場です。舗装路になっており、無料で駐車できます。
駐車場までの山道は2車線対面通行の快適な道なのですが、沿岸沿いを走る「国道127号線(内房なぎさライン)」から入ってからしばらく車の対抗が困難な狭い道が続くため、車で行く方にはおすすめできません。
一方で、バイクであれば上記の細い道も通行が容易であるほか、バイク専用の駐車区画があるため、バイクで行く方にはおすすめできます。また、路面が完全に舗装されているため、車を一切汚したくない人にもおすすめです。
Googleマップには「町営日本寺東口駐車場」の名称で登録されています。
5.元名海岸駐車場(無料)|表参道を登るハイキングの場合の最寄り駐車場
駐車料金 | 無料 |
駐車可能台数 | 不明 |
路面 | 未舗装路 |
補足 | Googleマップの登録名:元名海岸&海水浴場 第二駐車場 |
日本寺に徒歩で行くハイキングルートである「表参道」をハイキングする際の最寄りの駐車場です。Googleマップに「元名海岸&海水浴場 第二駐車場」の名称で登録があるだけで、目立つ看板などは無く、見た目は完全に空き地なので、行く際は見落とさないようにご注意ください。
また、ここから日本寺まではトイレが無い点に注意が必要です。
鋸山 日本寺に行く前に知っておきたい7つの事|訪問してわかった一次情報
歩く距離の長さやトイレの位置、御朱印を書いてもらえる場所など、便利WEBの編集部が実際に訪問してわかった、鋸山 日本寺を訪れる前に知っておくべき事前情報や注意点を詳しくご紹介します。
どのくらい歩く?|歩く距離と必要な体力について
境内は大半が石畳で舗装されています。地獄のぞきに近い山頂無料駐車場から入った場合、健康な成人男性の脚で実際に歩いて所要時間は以下の通りでした。
- 入り口となる西口管理所~地獄のぞきまで15分程度(←舗装路の山道の登り)
- 地獄のぞき~大仏広場まで20分~30分程度程度(←舗装路の山道の下り)
- 大仏広場~西口管理所まで30~40分程度(←舗装路の山道の上り)
※上記は写真を撮るといった観光に費やした数字は含んでいません。最低限のルートの観光でこれだけかかりますので、ラピュタの壁といった他のスポットに寄り道した場合はさらに時間がかかります。一つの目安としてお考えください。
上記のルートで必要な体力については、十代半ばの中高生~成人であれば、ゼイゼイ言いながらも踏破できるかと思います。小学生以下の子供については体力次第となりますが、一人で歩けない乳幼児をおんぶや抱っこで連れて行くのは、よほど体力に自信がある方を除いてお勧めしません。また、高齢者に関しては、体力をよく考えていくようにしましょう。
加えて、体力に重大な影響を及ぼすのが気候です。はっきり言って、夏は絶対にお勧めできません。6月~残暑がある時期(9月くらい)は辞めておくのが無難です。暑すぎて倍以上疲れます。編集部のスタッフは10月上旬と3月下旬の合計2回訪問しましたが、これらの時期は少し汗をかくくらいでちょうどよい気候でした。
服装と靴の選び方|境内は石畳でスニーカー必須
境内の大半が石畳で舗装されているため、境内の観光に登山装備のようなものは必要ありません。しかし、急な階段を含む山道を歩くことになるため、必ずスニーカーを着用する必要があります。
選ぶ靴として、ヒールは論外です。サンダルやバイク用のライディングシューズは歩けないことはありませんが、足が滅茶苦茶疲れると思いますので自己責任でお願いします。
トイレの位置|大仏広場付近の1箇所のみなので要注意!
山の中にある関係上、お手洗いが一カ所しか設置されていません。場所は境内の中では下の方に位置する大仏広場の付近であり、山腹の無料駐車場からは近いですが、地獄のぞきや山頂無料駐車場、ロープウェー乗り場からは山道を20~30分ほど下る必要があります。
ロープウェーと車で山頂まで行くのはどっちが良い?
車で行く方は山頂駐車場まで乗りつけるのがおすすめです。理由は以下の二つです。
- ロープウェー山麓駅の駐車場と鋸山山頂駐車場を比較した場合、山頂駐車場の方が広く車を止める場所に困らない
- 料金が安い(鋸山登山自動車道1000円に対し、ロープウェーは大人1200円)
料金面に関しては、ロープウェーは人間一人に付き料金がかかる(例:大人2名なら2400円)のに対し、鋸山登山自動車道は1台当たり野か金となるため、グループになるほど車で乗り付けたほうがお得になります。
バイクや自転車はロープウェーか東口駐車場を利用|自動車道が通行不可
山頂駐車場などの主要な駐車場へのアクセスに必要な「鋸山登山自動車道」は二輪車通行不可でバイクや自転車が通行できなくなっています。よって、ツーリングやサイクリングで行く際の主要なアクセス方法と駐車場は以下の2つです。
- 鋸山ロープウェー山麓駅に駐車:ロープウェーは有料だが駐車料金は無料
- 東口駐車場を利用:無料で大仏広場付近まで行けるルートで道が細いがバイクならOK
個人的におすすめなのは、ロープウェーを利用する方法です。ロープウェーの利用料金はかかりますが、最大の見どころである地獄のぞきまで近いため、体力が残っているうちにメインの観光スポットを楽しめます。
一方で東口駐車場(町営駐車場)は駐車料金が無料であるため、山腹まで無料で乗りつけることができ、ロープウェー代が節約できるメリットがあります。道中、細い道がありますが、バイクや自転車であれば通り抜けは容易ですし、道はすべて舗装路なので、オフロードを走る心配は不要です。なお、東口駐車場までは当然上り坂なので、自転車の方は体力とご相談ください。
御朱印の貰い方|場所・営業時間・料金まで解説
御朱印の種類 | 手書き |
場所 | 大仏広場※大仏を正面から見て左側の売店的な場所 |
料金 | 500円※2024年3月現在 |
注意点 | 12:00台は担当者が昼休憩のため、印刷した御朱印の有料配布のみ。訪問日当日は13:00~14:00が確実に担当者がいるとのことでした。 |
鋸山 日本寺での御朱印の貰い方は上記の通りです。注意点は職員の方に実際に質問して問い合わせた内容になります。手書きの御朱印が欲しい方は、12:00台に行くのは避けたほうが無難です。
自動販売機の位置|大仏広場と主要な入り口にあり
- ロープウェー山麓駅
- ロープウェー山頂駅
- 西口管理所(山頂無料駐車場)
- 大仏広場
歩いて確認した限り、飲み物が買える自動販売機の位置は上記の通りです。境内はロープウェー山頂駅、西口管理所(山頂無料駐車場)、大仏広場の3箇所に設置されています。売っているものは水をはじめとしたごく普通の品揃えでした。
鋸山 日本寺の主な見どころ
車や電車+ロープウェーで行く一般的な観光客がアクセスしやすい場所にある、鋸山と日本寺の主な見どころとなる観光スポットをご紹介します。掲載しているスポットはすべて日本寺の境内にあります。
日本寺の仏教関連の歴史遺産群
- 大仏像(薬師瑠璃光如来):世界平和と万世太平を祈願して彫られた、高さ31.05メートルの巨大な大仏です。
- 千五百羅漢:境内の山道に並ぶ1,553体の大小さまざまな石仏群です。
- 百尺観音:かつての石切場跡に6年の歳月をかけて彫られた約30メートルの大観音像です。
絶景ポイント
- 地獄のぞき:断崖絶壁に迫り出した地形で、上から360度のパノラマビューが楽しめ、晴れた日には房総半島~三浦半島や東京湾まで見渡せます。
- 瑠璃光展望台:「地獄のぞき」の上に登った人を撮影できるフォトスポットです。
- 鋸山ロープウェー:山麓と鋸山山頂付近を繋ぐロープウェーです。9:00~17:00の間に15分間隔で運行しています(例年11/16~2/15は9:00~16:00の運行)。
- 鋸山登山自動車道:鋸山山頂駐車場に続く有料道路で、傾斜が急なため景色が良いです。映画「ワイルドスピード TOKYO DRIFT」のロケ地となったことでも知られています。
石切り場の歴史を残す産業遺産群
- ラピュタの壁:百尺観音がある石切り場から見られる、垂直に切り立つ絶壁です。
- 切り通し:山頂付近にある、かつての石材等の搬出路。岩を切り開いて人工的に作られました。
【参考】鋸山 日本寺の歴史
日本寺は、約1300年前に聖武天皇の命を受け、行基菩薩によって開創された関東最古の勅願所です。千葉県の鋸山南斜面に広がる10万坪余りの広大な敷地を有しているこの寺院は、開山当時、七堂十二院百坊を完備する国内有数の規模を誇り、良弁、空海、慈覚といった名僧が留錫したとされています。
また、日本寺が位置する「鋸山」は千葉県の房総半島にある、ノコギリのような特徴的な稜線を持つことで知られる標高329.5メートルの山です。
この独特な地形は、約600万年前から1000万年前にかけての地殻変動の際、日本列島が大陸プレートと海洋プレートの境界に位置することから、海底に堆積した火山灰や泥が強い圧力で押し固められ、褶曲現象によって波打ち状になった地層が隆起して形成されました。この過程で、緻密な凝灰岩や凝灰質砂岩が生成され、長い年月をかけて海底から陸地として姿を現したとされています。
鋸山の地質学的特徴は、日本の地形形成の歴史を物語る貴重な例として、日本地質学会により千葉県の「県の石」に選定されています。