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人間がいて人材がいない?現実離れなハイスぺ人材を普通の人として求める社会を生き抜くには

2024年12月2日 便利WEB編集部

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現代の仕事は高度化しており、求人を出す企業や社会が求める専門的なスキルや知識も増加している。一方で、かつてのように誰もが容易に取り組むことのできる仕事は減少してきた。

この影響で仕事に対するハードルが上がり、存在しないハイスペックな人材を追い求める風潮が発生している。このような「人間はいるのに人材がいない」という状況について書いていきたい。

複雑過ぎるがゆえに存在しないハイスぺを探し求める現代の仕事と企業|「普通の人」の基準が上がりすぎている

現在の社会や企業が求職者に対して抱く期待は、過去と比べて非常に高い水準に達している。こうした状況から、求められるスキルや経験が増えすぎて仕事に対するハードルが上がり、現実には存在しない理想的な人材、つまるところ存在しないハイスぺ人材を求めていることがしばしば見受けられる。このような労働者に対する過剰な要求は、求職者にとって大きな負担をもたらし、求人市場における人材不足を引き起こす要因の一つになっているのではないだろうか。

この問題を解決するためには、企業側が求める条件を再考し、柔軟な採用基準を設定することが必要であるだろう。例えば、採用基準を大卒にしているものの、その仕事に学歴が果たして必要か疑問が残るような求人を出している、とりあえず大卒を取りたいような企業もよく見かける(しかも中小企業や零細企業のケースも珍しくない)。ただ、仮に事務職一つを取ってみても、ケアレスミスなく性格にデータ入力をしたり資料を作ったりといった学歴に関係ない別種の適性が必要となるなど、職種によって求められるスキルや能力は様々だ。すぐに抜本的な改革ができなくとも、職種別に採用基準や募集条件を見直すだけでも効果は普通にあるはずだ。

仕事の高度化で相対的な無能と働けない人の増加

現代社会において求職者に求められるスキルのハードルが上昇しているのは、仕事の高度化が背景にあると考えられる。

英語圏には単純作業を表す「マックジョブ」という言葉があるが、今やそんなマクドナルドやコンビニといった最低賃金の職場においても大量の商品名を記憶する必要があるなど、求められる能力や適応力は非常に高くなっている。このような状況において、真に「誰でもできる仕事」と呼ばれるものは、もはや存在しないというのが現実だ。

この問題は「構造的失業」と名前がついている

ちなみに、前述した仕事の高度化は、先進国においては「構造的失業」と称され、私たちが直面している悲しい現実の一端を示している。経済のグローバル化が進行する中で、単純労働は新興国や途上国などの国外へ移転し、先進国に残された雇用は高度なスキルを要求する「抽象度の高い仕事」ばかりになってしまった。その結果、社会適応に必要な基準が急激に引き上げられ、多くの人々がその期待に応えることが困難になっている。というものである。

このような状況は、求職者にとって非常に厳しいものであり、企業にとっても人材確保が一層難しい課題となっている。私たちは今後の社会において、この問題をどのように解決していくべきかを真剣に考える必要がある。

日本で「普通の人」の基準を押し上げ過ぎたのは就職氷河期

では、日本で「普通の人」の基準を押し上げることになった要因は何かと言えば、やはり就職氷河期とその時代に社会人になった氷河期世代が挙げられるだろう。

かつての氷河期世代は、厳しい就職戦線を生き抜く羽目になった結果、多くの人は理想的な企業ではなく、むしろ低賃金で過酷な労働条件を強いられるブラック企業を選ぶ羽目になった。当時は零細企業までもが人材をえり好みできたので経営者側は質の高い労働者がどこにでも存在するのが当たり前だと錯覚しただろう。

しかし、低賃金の仕事においても、その業務を日本基準の「質の高いサービス」として提供できる水準でこなせるレベルで考えると、決して誰でもこなせるものではなく、特定のスキルや知識、適性を必要とするものであることは少なくない。それにもかかわらず、社会全体がこうした状況を受け入れ、厳しい労働環境が「普通」とされるようになってしまっている。これは現代の若者世代も含め、労働者全員に影響を及ぼしているといえるだろう。

今の日本は「優秀な非正規」なしでは回らない|自己責任のフリーター&パートが必要不可欠な不都合な真実

筆者は一時期コンビニでアルバイトをしていたことがあるが、その時に強く感じたことがある。それは、コンビニの運営が社員や学生アルバイトだけでは成立しないという現実である。

コンビニ店舗の運営に必要な知識は多岐にわたり、加えて多くの人手が必要である。よって、現場では「フリーター」と呼ばれる層の存在が不可欠だった。フリーターとは、一般的に非正規雇用で働く労働者を指し、しばしば安定した職に就けず、生活が困難な状況にあることが多い。そして、現在は外国人留学生もそこに加わっている。共通しているのは、一定以上の能力があり、低賃金の非正規労働者である点だ。

このような状況を考慮すると、低賃金で働く優秀な非正規労働者がいなければコンビニのようなビジネスモデル自体が成立しないというのが事実である。しかしながら、社会においては非正規労働者の存在が「自己責任」とされることが多いのもまた事実である。その一方で彼らがいなければ店舗の運営が成り立たないという矛盾した現実が存在するのだ。

普通じゃない人の生存戦略はJTCに潜り込むこと|年功序列の残り香で無能の窓際でも中間層になれる

存在しないハイスぺ人材を求める社会に対抗し、求人を出す企業側が設定した「普通の人」になれない一般的な労働者が取れる対抗策となる生存戦略はあるのか。日本において、現状の答えとなるのは、日系の大企業(その子会社等の関連会社や系列を含む)に何とか潜り込む形で就職することがあると考えられる。ちなみに、JTCとは「Japan Traditional Campany」の略称で、年功序列をはじめとする伝統的な日本の雇用慣行に倣った経営をする日系企業を指すネットスラングだ。

現代社会においては、仕事の高度化が進行しているため、多くの人々がその変化についていけず苦悩している事実がある。特に、技術革新や業務の複雑化が進む中で、求められるスキルや知識が大きく変わってきている。その結果として、従来の働き方が通用しない状況が増加している。しかし、そんな中でも労働者側の意外な救済策となると考えられるのが、日本独特の解雇規制と年功序列制度である。

大企業における年功序列制度は、長期間働くことで徐々に賃金が上昇する仕組みを持っている。この制度は、たとえ仕事の能力が低い場合でも、企業内に留まることで安定した収入を得るチャンスを提供する。したがって、仕事のスキルや成果にかかわらず、長く在籍することが重要視されるため、一定の生活水準を維持することができるのである。

もちろん、年功序列のある大企業に入社すること自体は簡単ではないが、一度そのシステムに参加にすることができれば、たとえ「窓際族」となったとしても、他の職場に比べて相対的に高い賃金を得ることができるだろう。これにより、経済的安定を手に入れ、中間層としての生活を持続することが可能になる。

このように、年功序列を持つ大企業は、仕事において成果を上げられない人々にとって一つの生存手段となる可能性がある。厳しい競争が続く現状において、こうした制度の存在は貴重な選択肢となることを考慮すると、私たちは多様な働き方や制度について再評価する必要があるのではないだろうか。

せめて「低賃金だが生活できるくらいは稼げる誰でもできる仕事」が必要だ

現代の仕事は急速に高度化しており、専門的なスキルや知識が求められる場面が増加している。この影響により、かつてのように誰もが容易に取り組むことのできる仕事は減少してきた。

この記事ではこのような状況における労働者の立場の対抗策としてJTCに潜り込むことを紹介したが、誰もが条件の良い大企業やその関連会社に就職できるわけではない。そんな社会の現状を踏まえると、仮に低賃金であっても生活できるだけのお金が稼げる誰でもできる仕事で、安定した正社員として働ける雇用は絶対に必要だろう。

低賃金の職は、特に若者や未経験者にとって貴重な職業経験を積む機会を提供する。また、経済的な困難に直面している人々にとっても、簡単に始められる仕事は自立への第一歩となる。現在の時代においては、誰でも取り組むことのできる仕事の重要性を再評価し、その価値を見直すことが必要ではないだろうか。それができないのなら、ベーシックインカムでも導入して高度な能力を持たない人は働かなくても済むようにしたほうがマシというものだろう。

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