仕事・キャリア

当たり前のことを当たり前にやるだけで貰える信頼があるという話

トラベラーズモルト

トラベラーズモルト

便利WEB編集部の中心メンバーの一人。普段は都内のIT企業にてマーケティング関連の仕事をしている。高校時代は怠けすぎて理由なく通信制高校に通うなど遊び優先の性格。現在の趣味は一人旅とウイスキー。ペンネームは某ジャパニーズウイスキーのブランドっぽい響きにしたが、好きな銘柄はスプリングバンク10年。

筆者は学生時代に起業してスタートアップを作り、数年で潰した経験がある(高校生のころだった)。今思えば、高校生が若気の至りで何の具体的な計画もビジョンもないまま始めた向こう見ずな無謀な行動だったが、その後の人生に役立つたくさんの経験と学びを与えてくれた。

今回のテーマは、そんな失敗起業で得た数々の学びの中でも筆者が特に大切にしていることの一つである「当たり前のことを当たり前にやる、誠実さを示すその行動だけで時に得られる信頼もあるし、無くす信頼もある」ということについてだ。

学生NGの取引先の開拓に「社会人なら当たり前の行動」が役立った

起業して潰すまでの数年間の中でも、会社の設立後間もない頃の話だ。当時考えていたWEBサービスの構築に使用するために必要なポイントサイト構築用のシステムパッケージを探していた。

この手の商材を扱う企業は1社ではないため、複数社に当たりを付けて資料請求や見積もり依頼をするなどして比較検討していたのだが、ここで思わぬトラブルが発生した。予算と機能の面から最有力候補に上がった企業の公式サイトをよく読んでみたところ、目立たない場所に未成年や学生が代表の事業や企業には商品を販売しない旨の記述があり、計画が暗礁に乗り上げてしまったのだ。

(一時期ネットなどで学生の社長が取り上げられて話題になったことはあったと記憶しているが)未成年が代表の企業などというレアケースをピンポイントで取り上げてお断りを掲げていることから、この企業からシステムを納品してもらうことは難しいと思われたが、ダメ元で事情を説明して取引できないか打診したところ、驚くことに拍子抜けするほどあっさりとOKを貰えた。その理由は先方からの返信のメールに書いてあったのだが、「トラブル防止のために未成年が運営する企業や事業主との取引はしない方針だが、これまでのやり取りで筆者がとても誠実で信用に足る人物であるとわかったので、今回はシステムを納品したい」という旨の内容であり、筆者の人物を評価してもらっての特別対応であった。

この経験が筆者が当たり前のことを当たり前にやることの大切さを学んだ原体験である。この時に自分がやったことは、ネットで例文を調べながら、慣れないながらもビジネスマナーに則ったメールを作ってやり取りするだけだったのだが、そんな「社会人なら当たり前に求められる、できたところで特に褒められもしないこと」を当たり前に抜けもれなくやっているだけで、誠実さを評価されて信用を得ることができた。

当時から既に5年以上が経過しているが、実績も経験も無く、手探りで社会に飛び込んだ当時の自分にとっては忘れられない感動になったのを今でも覚えている。

長期インターンで共に働く同僚からも当たり前の行動で得られる信頼があると知った

大学生になって長期インターンを始め、雇われる形で組織で働きだしてからも、当たり前の行動で信頼を貰う機会があった。

当時働いていたのはWEB制作やWEBマーケティングの代行を行うコンサル的な業種の零細企業だった。飛び込んだ時はWEBに関する知識はある程度持っていた一方、社会人としての心構えみたいなものや仕事の進め方などは体系的な知識を全く持たなかった。

そこで、とりあえず「納期は守る」「成果物(最初はコンテンツマーケティング用の記事だった)のクオリティは最大限努力して高める」「できる提案は臆せずにする」の3点を心がけた。これが、学生とはいえ、業務分野に関する一定の知識を持っていることを理由に採用された人間の当たり前だと思ったからだ。社長だろうが新人だろうが、誰が言うことにも耳を傾けるという心理的安全性のある組織だったのでできたことでもあるが、わからないことだらけでそれしか打てる手が無かったというのが本音だ。

ところが、そんな当たり前の行動をとっているだけで、周囲からは「よくできる人物」として見られるようになり、知らない間に周囲からの信頼が築かれていた。コミュニケーション能力が皆無なことから、新しい環境で人間関係を築くのにいつも苦労していた自分にとっては、当たり前のことをして仕事をきっちりやっているだけで人間扱いされ、信頼されるのは実に驚きだった。

また、同じ経験を2回したことで、この「時に当たり前の行動を当たり前にすることが信頼を得ることに繋がる」という仮説が確信に変わった。この時から、「何をするにおいても大切な信頼関係を周囲と築くために当たり前のことを当たり前にする。特に新しい環境に飛び込むときは気を付ける」というのが自分の生存戦略の1つになっている。

【最後に】少なくとも仕事では当たり前の行動で信頼を貰えることがある

大学を卒業した後の筆者は普通のサラリーマンになり、とあるIT関係の企業で働いている。メガベンチャーや大企業を名乗れるほど規模も勢いも無いが、安定的に稼げている複数の事業を持ち上場にもこぎつけた中堅企業だ。

社会人になってからも同様に、当たり前のことは当たり前にやることを心がけて、仕事には誠実に取り組んだ。結果として周囲からはそれなりの信頼を得ることができ、今現在も周囲とは良好な関係を保って働くことができている。

もちろん、若さという今だけ持っている武器で下駄をはかせてもらったところもあるだろうが、それだけではないだろう。

今後、自分がどのようにキャリアを積んでいくのかはわからないし、できるだけ働かずに生きたいとも思うが、仕事をするからには当たり前のことを当たり前にやるのを心がけていきたい。

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トラベラーズモルト

便利WEB編集部の中心メンバーの一人。普段は都内のIT企業にてマーケティング関連の仕事をしている。高校時代は怠けすぎて理由なく通信制高校に通うなど遊び優先の性格。現在の趣味は一人旅とウイスキー。ペンネームは某ジャパニーズウイスキーのブランドっぽい響きにしたが、好きな銘柄はスプリングバンク10年。

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