クレジットカード業界や信販業界に就職すると必ず取得させられる資格である、日本クレジット協会が認定する「個人情報取扱主任者」。業界団体が実施する、業界の企業の社員しか受験資格が無いことから、謎に包まれている部分が多い資格です。
この記事では、実際に個人情報取扱主任者に合格した筆者が、試験内容及び試験問題の特徴と出題範囲、受検の詳しい流れを詳しく解説していきます。
なお、試験の難易度や合格率については以下の記事をご覧ください。
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個人情報取扱主任者の出題範囲リスト|テキスト全体が範囲

最新の出題範囲はお手持ちのテキストを確認いただく必要がありますが、個人情報取扱主任者の大まかな出題内容の範囲をご紹介します。実際に受験して合格した筆者の所感としては、テキストの全体が出題範囲になると考えて良いです。
1.個人情報取扱主任者試験そのものについて(資格制度の役割など)
個人情報取扱主任者とそれに関する日本クレジット協会やクレジット信販業界の歴史など、業界や資格制度そのものに関する内容です。資格の知識のメインとなる法令とは離れていることからそんなに多く出題された記憶はありません。
憶えておけば点を取れる、落とすともったいない箇所なので、テキストは一通り暗記しておきましょう。
2.個人情報保護に関する動向
一種の時事問題の要素を持つもので、クレジットカード業界や信販業界に影響がある個人情報保護に関する法律の法改正など、近年の業界や規制の動向に関する内容になります。年度によって情報量に変動がある点に注意が必要です。
3.個人情報保護に関連する法令について
個人情報保護法と、それに関連する通則ガイドラインや信用分野ガイドラインをはじめとした各種ガイドラインといった、個人情報保護に関する法令についての分野です。相当ボリュームが多いのでこの試験の主たる難所と言えます。
一番の注意点が、聞きなれない専門用語が多数登場する事です。軽く例を挙げると、「個人識別符号」「要配慮個人情報」「オプトアウト」などがあります。暗記を怠らないようにしましょう。
なお、この範囲はクレジットカード業界や信販業界の方であれば後ほど取得させられることが多い試験である「クレディッター(クレジット審査業務能力検定制度)」や「シニアクレディッター」などでも被ってくる範囲になります。後から役立つのでしっかり勉強しておいて損はありません。
4.個人情報保護指針について
個人情報保護法と関連が深い個人情報保護指針についても出題されます。内容は個人情報保護法に関する部分と被っている要素は多いですが、こちらは条文から出題される傾向にあったため、別途条文に触れておくことが大切です。
5.信販業界における個人情報取扱いに関する専門知識(信用情報機関についてなど)
割賦販売法や貸金業法、個人情報信用機関(※CICやJICCなど)といった、クレジットカード業界や信販業界に関する専門知識の中から、基礎知識クラスの内容と個人情報保護に関する内容が出題されます。こちらも後から受験させられることが多い「クレディッター」などの他の死角試験でも役立つ範囲です。
出題範囲のボリュームは個人情報保護法よりは少ないですが、「信用情報」と「基礎特定信用情報」、「個人信用情報機関」と「指定信用情報機関」といった紛らわしい単語が多い点に注意が必要です。
6.実務における対応のケーススタディと訴訟事例
審査、債権管理(※督促など)から、集客、マーケティングなど、クレジットカード業界や信販業界のあらゆる業務におけるよくあるシチュエーションを例に、個人情報取扱主任者の試験範囲の法令やルールに沿った対応の知識を習得する分野です。また、合わせて過去の判例を交えて業界で起こった訴訟の事例についても学びます。
難しそうに見えますが、ここまでの内容で個人情報保護法と関連法令や、クレジット・信販業界の知識を身に着けていれば基本的に答えられるような内容です。知識の定着の確認という面が強いと言えるでしょう。
個人情報取扱主任者の試験問題の特徴5選

あくまで筆者が受検した時の話ですが、個人情報取扱主任者の試験問題の特徴を5つご紹介します。
なお、勉強法や過去問の入手方法に関しては以下の記事をご覧ください。
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合格者が伝授!個人情報取扱主任者資格の効率的な勉強法と過去問の入手方法
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【受験形式】CBT試験なのでテストセンターからPCで受験する
昔はマークシート方式で実施されていたことから、特定の試験日に受検者が一斉に集まって受験していたという個人情報取扱主任者の試験ですが、現在は全国47都道府県にあるテストセンターから各自でPC受験する方式に変更されています。
これにより、マイページから任意の日時と会場を選択して予約すると、その日の予約時間に会場に出向いて、一人で試験を受け、終わったら帰るというのが受験の流れになりました。
【受検ルール】試験時間は60分
私権の制限時間は開始後60分です。着席後ではなく、PCで試験を開始してから60分間となります。早く終わった場合は途中退出が可能です。
60分が経過すると強制的に試験が終了されますので、仮に解き終われなさそうであれば、自身がある問題から解くようにしましょう。
【問題形式】語群選択と正誤判定が大半
問題の大半を占めるのが、語群選択や文書の正誤判定を行う問題です。具体的には以下のような問題が出題されます。
- 文章に単語が入る虫食いが作られており、そこに当てはまる単語を4個程度の語群から選択して答える。
- 言葉の定義の解説をはじめとした文章が提示され、その内容が合っているか間違っているかを〇バツで選択する
- 言葉の定義の解説をはじめとした文章が複数提示され、その中から間違っているものや合っているものを1つだけ選ぶ。
なお、語群も割と紛らわしい選択肢を用意してくるので、テキストや課題テストの内容を一語一句完璧に暗記しておくことをおすすめします。
【問題形式】記述問題は単語以上で論述未満
個人情報取扱主任者の試験問題には、数は少ないながら記述問題が出題されます。
内容は虫食いになっている個所に当てはまる単語や数字、ワンフレーズの言葉を語群選択ではなく直接入力するというものです。論述や小論文のように文章を考えて書くような問題はありませんでした。
【出題範囲】課題テストとテキストの章末問題で8割以上が出題された
個人情報取扱主任者の試験の出題範囲は上記の通りですが、課題テストとテキストの章末問題で8割以上が出題されました。ただし、全く同じ問題を出すのではなく、基本的に答える単語の場所や正誤判定する文章の一部の表現を変えるなど改変して難易度を挙げてきています。
【出題範囲】テキストと資料集全体が出題範囲ではある
前項で「課題テストとテキストの章末問題で8割以上が出題された」と述べましたが、厳密な出題範囲は申し込み時に購入する個人情報取扱主任者のテキストと資料集の全体です。実際に、資料集の片隅に書かれているものも含め、課題テストや章末問題にも無い箇所からの出題もありました。
徹底的に対策するのであれば、資料集も含めテキストの読み込みは必須です。
システムやメモ用紙に見直したい問題をマーキングできる
個人的に非常にありがたいシステムだったのが、受験時にメモ用紙を貰えるほか、回答画面にも後で見直しをしたい問題をチェックを入れてマーキングしておける機能がついていたことです。
回答に自信が無い問題を残しておいて、後から見直しができるのでうっかりミスの撲滅に役立ちました。なお、メモ用紙の持ち帰りは不可なので、自分で答え合わせをするには問題文を暗記しておくしかありません。
【まとめ】それなりに気合を入れて対策を
個人情報取扱主任者の合格率は7割越えと噂されていますが、筆者が会社の同僚や先輩からヒアリングした体感では9割以上の人が受かり、落ちる方が珍しい資格という印象です。
しかし、専門用語が多いことから、対策しないと普通に落ちるのも事実と言えます。士業の国家試験のように徹底的に気合を入れて長い時間をかけて勉強してから受検するようなものではありませんが、まとまった時間を確保しての対策は必須です。
以下の記事で勉強法や難易度を解説していますので、こちらもあわせてご覧ください。
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個人情報取扱主任者を最短合格!


クレジット/信販業界に入ると会社から取得を求められることが多い「個人情報取扱主任者」の資格。普段の仕事で忙しいあなたが、最短で一発合格するためのコツを、実際に一発合格した合格経験者が詳しく解説しています。
- 最短合格のための勉強法
- 過去問の入手方法
- 実際の合格難易度
- 出題範囲